林
林檎飴さん (89c6tofr)2022/3/20 00:23 (No.17646)削除簡単なソロル?短編小説?という感じのうちの子2人のお話です…
恋人でも知り合いとも違う少し変わった2人の関係を書きたくてつい書いちゃいました…
ーSuminosuに住むメイド長と騎士団長の眠れない夜の話ー
Fifi・Grelierは寝支度をしていた
時刻は深夜をまわり日付変更線を超えた頃だった
トントンと軽く扉をたたく音が聞こえる
誰が訪ねてきたのかは大体察しがついた
「こんな時間に起きてるなんて悪い子ですね〜。そんな子に育ては覚えはありませんよ?」とからかうように笑ってみる
その言葉を聞いてガチャリと無作法に扉を開けながらムスッとした顔で「うるせェ…鍛えられた覚えはあっても育てられた覚えはねーよ」と言ったのはLucas・Pasteurだった
彼は彼女の知り合いと言うべきか弟(?)と言うべきなのか…かくにも2人の関係は不思議なもので距離が近いことには違いないということは周知の事実である
「もうそんな顔しないでくださいよ〜昔みたいに可愛くは見えませんよ?」と軽く流しながら笑っている。近くにあるベッドに座り込めば「まぁいいですよ…ほらこっちに来たらどうです?お話しましょう」と隣に座るように彼を促した
軽くため息を付きながら本当に頭が上がらない…敵わないなと思いながら隣に座るこむ。彼女に嘘を付けない…付いたとしても直ぐにバレてしまう
「眠れねェんだよ…少し付き合え…」素直になれずにぶっきらぼうに言葉を零す
目を少し細めながら見れば少しクスリと笑えば「いいですよ…昔みたいにお話しましょうか」優しげな声で語る様子は彼よりも年下であるのに姉のように見えたその後に「何なら一緒に寝てもいいですよ?」と言ったのは余計だったかもしれないが
「るせェ…一言余計だ…」と少し恥ずかしげに荒く呟く。しばしの沈黙が流れたあと「…あん時の…夢を見た…思い出して苦しィんだよ…」と掠れ消えそうな声で述べたのだ
その言葉を聞いて少し仕方ないなと言う顔をしながら軽く背伸びをして頭を撫でた。「そうですか…忘れられないものですし…忘れたくないんでしょリュカ…大丈夫…アンタは悪くない…私が保証します。そしてアンタを強くして…見返しましょう…変えましょうね」彼と彼女の少し秘密の約束を思い出しながらやさしく語る
その優しさは少しの救いだった。彼は彼女になら唯一心を許せた。あのとき自分を拾い否定をしないで受け入れてくれた彼女を…“あの人と同じ顔をしてくれた彼女”を「寝る…寝させろ…」と縋るように彼女に願った…彼なりの甘えで素直になれない一面だった
「いいですよ…おやすみリュカ」その思いを汲み取ったのか軽く膝を叩いて自分の膝に来るように誘導した。“いつもの恒例行事”である。恥ずかしがりながら彼はそれを受け入れそのまま頭を預けた。優しく撫でられる手付きが落ち着かせてくれる…昔からそうだった。初めての貴族社会でなれないことを教えてくれた…新たな力を教え鍛えてくれた…挫けそうなときは慰めずっとそばに居てくれた
もし…自分が過去を乗り越えて…もし…自分の夢を実現して…もし…新しく愛する人ができたら彼女に一番に伝えよう。そしたら喜んでくれるだろうか…彼女だけには笑顔でいてほしい…彼女がこの国を愛するなら守りたい。いつかそんな日が訪れるように彼は目を瞑りまた夢の中に潜っていったのだ。